2020年12月25日金曜日

NutanixのROBO環境について

みなさん、こんにちは
本記事は、Nutanix Advent Calendar 2020の12月25日分としての投稿になります。

本日はNutanixのROBO環境についてのお話をしようと思います。
NutanixのROBO環境ですが、地方の拠点などのリモート環境で大規模なクラスター構成ではなく、3ノードまでのクラスター構成を環境です。

Nutanixが一般的に3ノードからと言われている中で、ROBO環境のメリットがあるのか?というところも含めて、ROBO環境のクラスターについて内容を説明したいと思います。

1.ROBO向けの1台構成について
1ノード構成の場合についてお話します。
1ノード構成の場合、1台の筐体内でRF2の構成を取ります。つまり、ノード内でメタデータおよび保存データを複数するため、本来必要とするデータ量の1/2となります。(RAID1と同様)
また、3ノード以上のスケールアウト型での拡張は考慮されていないことから、レプリケーションターゲットのような利用シーンが考えられます。通常の仮想化のノードとしては利用シーンもありますが、稼働させる仮想マシン数も少ない(冗長性も考慮しない)

参考程度にNutanixのNXシリーズとLenovoのHXシリーズでの構成可能なコンポーネントを記載しておきますが、NXシリーズは元々大規模なリソースを想定していないことから、CPUスペックは低いものしかラインナップしておりませんが、Lenovo社のスペックについてはROBOモデルでも最大28コアまでサポートされているCPUを搭載することができます。
ドライブ容量も12TBのNLSASは搭載可能ですが、本数も少ないことから高パフォーマンスのワークロードを想定しているものではありません。

2.ROBO向けの2台構成について
次に2ノード構成の場合についてお話します。

2ノード構成の場合、2台ノード全体でRF2の構成を取ります。つまり、一台のノードで障害が発生してももう一つのノードで動作するような仕組みになっております。つまり、HAの構成可能であるが、それだけであれば普通の仮想化環境と変わりません。実はNutanixの2ノード構成については振り舞いが異なる点があります。

データの冗長性についてお話します。メタデータはRF2ではなくRF4の仕組みで動いております。つまり、筐体内で複製も行いますが筐体外でも複製をおこなうため、実際メタデータ(SSD領域)に関しては余分に容量を見ておく必要があります。

つまり、ROBO環境においては仮想マシンの搭載台数も少なく、容量も少なめに構成されます。スケールアウトもできないことから、将来に向けてスケールアウトを拡張したいお客様は検討しないほうがよいと思います。

また、2ノード環境には構成する際にもう一つ必要なコンポーネントがあります。

3.2台クラスター環境にはWitnessサーバーが必須
2台のクラスター環境においては、それぞれのノードがスプリットブレーンを起こさないようにするために、2台のクラスターを外部から監視するサービス(Witness)が必要となります。Witnessサーバーを構築するためには、外部でNutanixのクラスターが必要となるため、2台のROBO用のクラスターを構築する前に本社もしくはデータセンター内に3台以上のクラスターを構築する必要があります。
Witnessサーバーは複数拠点のROBO環境を監視する機能があります。それ以外にWANの帯域幅、レイテンシなどの要件もありますので、WANで接続されているから構成できるわけではありませんので、環境をご確認の上で構成してください。
  • N個のクラスタに1台のWitness
  • WANの帯域幅、レイテンシ、可用性 に制限なし
  • 2ノードクラスタ上には構築不可
ROBO環境において、これ以上問題点はないのだろうか?と思いますが、さらに,
考慮点もございますので、次のイメージでご説明致します。

4.ROBOモデルおよびレプリケーションターゲットに関する仕様について
1ノード構成の説明時に
お話したレプリケーションターゲットに関連する内容をお話します。
1ノード/2ノード構成する際は機能制限があります。
  • スケールアウト(ノード増設)
  • Volumes
  • Metro Availability(メトロの可用性)
  • EC-X(イレージャーコーディング)
  • Deduplication(重複排除)
  • Hyper-V
スケールアウトに関しては先ほど記載しましたが、ブロックストレージのVolumesやMetro Availability、EC-X(イレージャーコーディング)や重複排除も未サポートになっています。
つまり、そのような制限がある場合に、3ノード以上のクラスターからそのままレプリケーションすると重複排除やイレージャーコーディングされたデータがあるクラスターから、そのままROBO環境の1,2ノードのクラスターにレプリケーションすることはできます。しかし、容量が削減されているクラスターから、容量を削減不可のクラスターへのレプリケーションになるため、容量を考慮して運用する必要がありますので、ご注意ください。

5.レプリケーションターゲットを考慮した増設に関して
また、レプリケーションターゲットを構成する際、イメージのように3ノードクラスターのバックアップとしてレプリケーションターゲットを構成するとします。
3ノードクラスター(ここではライセンスをStarterを想定
)の容量が大きくなり、バックアップ用のレプリケーションターゲットノードの容量が不足した場合、本来であればレプリケーションターゲット側をスケールアウトで構成したいと考えます。先ほど1ノード構成の際に説明した通り、スケールアウトで拡張することができません。そのため本番用のノード拡張に合わせてレプリケーションターゲットを追加する必要があります。このようにしてレプリケーションターゲットを増やすことにより増設対応できます。

ほとんどの人が、これで終わりだと思うところがあるのですが、またここで注意事項があります。

6.複数サイト(クラスター)へのDRはライセンスに注意
先ほどのイメージで本番サイトのエディションをStarterと書いてあったのがポイントです。Starterエディションの場合、1:1のレプリケーションを想定しております。そこで、複数のクラスターに対してレプリケーションを行う場合、Starterのライセンスでは対応できません。現状のNutanixにおいては、Proエディションで購入したライセンスに対しては、Advanced Replicationのライセンスが必要になります。(Ultimateライセンスであればそのまま利用可能)
このような話はレプリケーションターゲットに限ったお話ではありませんが、レプリケーションターゲットに関しては、陥りやすい罠となっております。

7.ROBOモデルの本来の利用用途
ROBOモデルの本来の利用用途は、本社もしくはデータセンターに導入したNutanixのクラスターのバックアップや支店などのサイトで利用する小規模のクラスターを構成することがz前提です。そのため、小規模クラスターだけを構築するためだけに導入するものではありません。
仮想マシン数が少ないからと言って、積極的に導入するものではないので、もし小規模でもNutanixを導入したいということであれば、是非小規模のモデルでも3ノードを構成可能なサーバーで購入した方が望ましいと思われます。

8.ROBOモデルは実用的ではない?
ここまで説明してきた内容からすると、ROBOモデルをオススメではないという結論になってしまいますが、今回は少し前向きな話をしたいと思います。
ROBOモデルも実は利用シーンを選べば活用できるモデルであります。それはIoTなどのエッジコンピューティングなど用途です。
エッジコンピューティングでは、エッジサイトで利用しているモバイルデバイスからデータを収集して、処理結果をクラウド上にアップロードしてビジネスに利用するケースがあります。(例えば、監視カメラなどで人などを感知して録画を撮り、人がいなくなったら録画を停止して、動画に情報を付加してクラウド上オブジェクトストレージに保存し、必要に応じて検索して閲覧する)
このような利用シーンであればで、稼働させる仮想マシンも少なく、時には冗長化も不要なケースもあります。
今回このような利用シーンに対応したNutanixのモデルがLenovo社からリリースされておりますので、ここでお話したいと思います。

今回お話するのは今月リリースされたLenovo社から発表されたThinkAgile HX1021になります。
こちらのモデルは昨年リリースされたエッジサーバーのThinkSystem SE350が今回Nutanix対応モデルとして発表されています。
こちらのモデルはエッジコンピューティングを前提にデザインされているため、AIなどの処理可能にするため、GPU(Tesla T4)が搭載されています。ThinkSystem SE350であればWiFiや5Gのモジュールもサポートされているのですが、今回のNutanix対応のHX1021に関しては、Wifiインタフェースおよび5Gモジュールは現状非対応となります。

詳細に関しては、Lenovo社のホームページに記載がありますので、そちらをご参照ください。
ThinkAgile HX1021の主な特徴は以下の3項目です。

  • 小規模環境の導入向け コンパクトなサイズのHCI 
  • グローバルに広がる エッジロケーションの コンシューマグレードの集中管理
  • エッジ環境での高信頼性があり、可用性を備えた安全で頑丈なシステム

ThinkAgile HX1021は1Uで2台のノードが搭載できるサーバーです。非常にコンパクトなボディにもかかわらず、ハイスペックなノードになっています。(コンパクトなボディではありますが、価格に関しては1Uサーバーより高額になる可能性があります)

ThinkAgile HX1021はリモートサイトに設置ちてもネットワークが接続されていれば、XCC(XClarity Controller)やPrismを利用してNutanixクラスターを管理することができます。

ThinkAgile HX1021はラック搭載しなくても利用することができるため、ノードそのものを盗難された場合に、ThinkShield SecureVaultでキー管理することでデータへの不正侵入や改ざんを防止することができます。

10.ROBOモデルにはROBO向けのライセンスを利用しよう
ROBOモデル向けには実はROBO向けのライセンスがリリースされております。
詳細はNutanix社のサイトに記載がございますが、簡単にこちらでもコメントしますと10VM以下の環境で利用する場合、ホストのCPUコアやフラッシュの容量などのスペックには関係なく利用可能なライセンスとなります。


そのため、テスト用途や今回のようなROBO環境では最適なライセンス体系になります。

最後にHX1021を2ノード構成する場合については、既存の3ノード以上のクラスター上にWitnessサーバーをデプロイして利用するようにしてください。

是非エッジコンピューティングなどを利用する際には、こちらの製品を選択することも検討してみてはいかがでしょうか。

以上、よろしくお願いいたします。

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