みなさん、こんにちは
今回は先日ご紹介したThinkAgile製品について、vSAN Sizerを利用する際にどのように設定すればThinkAgileVXの構成でサイジングができるのかをお話ししたいと思います。
その前に、今回はThinkAgile製品とハードウェア各社が認定されているvSAN ReadyNodesについてもお話します。
1.vSAN ReadyNodesの構成について
前回の記事でThinkAgile製品を説明しましたが、vSAN ReadyNodesについてあまりコメントをしていなかったので、vSAN ReadyNodesとThinkAgile VXの違いについて説明しておきたいと思います。
前回の記事のURLはこちらです
https://tkomiya.blogspot.com/2020/12/thinkagilevx-vsan-sizer.html
VMware社のvSAN Compatibility Guide(https://www.vmware.com/resources/compatibility/search.php?deviceCategory=vsan)でLenovoのvSAN ReadyNodesを検索すると上図のイメージのようにHY-4(ハイブリッド)構成において14種類も出てきます。
この中で、ThinkAgileシリーズとvSAN ReadyNodesが表示されますが、この2種類はどのように違うのかがわからない方もいらっしゃいますので、ご説明します
2.vSAN ReadyNodesとThinkAgile VXの違いについて
ThinkAgileとvSAN ReadyNodesについてはこちらのイメージをご覧ください。
こちらの内容を見ていただきますと、違いについては以下のポイントになります。
・VMware社またはLenovo社の認定であるのかどうか
・構成が一意なのか?それとも柔軟性に富んでいるのか?
・ハードウェアベンダーから受けられるサポートレベルの違い
前回のブログでもお話しましたが、vSAN ReadyNodesで構成を組んでも特に構成上問題ない場合はそのまま選定することもよいのですが、ほとんどの要件においてマッチする構成にはなりません。そのため、サイジングした結果で表示されるvSAN ReadyNodesはほぼカスタマイズされて構成することが多いです。
ファームウェアの管理という意味では、以前はvSANアプライアンスをリリースしているベンダーについては優位性がありました。しかし、vSphere7よりvLCM(vSphere Lifecycle Manager)がサポートされ、ハードウェアベンダーが提供するHSM(Hardware Support Manager)とvCenterが連携できれば、ハードウェアコンポーネントにサポートされたファームウェアを適用することができます。
ThinkAgile VXについては、もちろんvSAN ReadyNodesで表示される構成もありますが、ThinkAgile VXは
ハードウェアベンダー側で検証したファームウェアであれば、それをサポートするハードウェアコンポーネントをどのような構成にしても(Lenovo側で)サポートされますというのがThinkAgile製品の特長です。上図のイメージのようにサイジング結果にハードウェアコンポーネントを合わせて組むことができるため、柔軟性に富んだ構成を望まれる方はThinkAgileVXのアプライアンスもしくはThinkAgile VX認定ノードを選択すると良いと思います。
3.vSAN Sizerに関して
vSAN Sizerについてお話します。
vSAN Sizerは以下のURLからアクセスすることができます。ご利用の際はVMware社のPartner ConnectもしくはMy VMwareへの登録が必要となります。
https://vsansizer.vmware.com/
vSAN Sizerの詳細については、以下のURLをご参照ください。かなり詳細な名称が記載されております。(画面が一部古いですが、十分に参考になります)
https://kwmtlog.blogspot.com/2020/09/new-vsan-ready-node-sizer-user-guide.html
こちらの画面では以下の内容が表示されます
・vSANの構成(ハイブリッドもしくはオールフラッシュ)
・vSANのバージョン(現在6.7U3/7.0/7.0U1の3種類)
・ReadyNodesベンダー
・Cluster Configuration
・Workload Profile
vSANの構成とバージョンについては選択は必須になります。特に仕様を気にすることがなければ最新の7.0U1を選定しましょう。ReadyNodesベンダーは選択は必須ではありませんが、すべてのベンダーが表示されてしまうことから、お気に入りのベンダーを指定しましょう。(今回はLenovoを選択しております)
Cluster Configuration およびWorkload Profileについてはこの後に説明します。
4.Workload Profileの入力
Workload Priofileの入力画面になります。
今回は仮想マシン120台で容量100GB程度のマシンを以下のような設定で入力します。(ハイブリッド構成でバージョンは7.0U1)
物理コアあたりのCPU数:3
仮想CPU数:2
仮想メモリ:8
IOPS:100
FTT=1でRAID1設定でIOについては、読み込み:書き込みを70:30の割合で想定
こちらの内容でサイジングした結果が以下のようになります。
5.サイジング結果
Cluster Configurationを何も設定せずにWorkload Profileを入力してサイジングするとイメージのような画面が表示されます。
こちらの画面では、vSANを構成するESXのホストの台数とvSAN環境が動作るうリソースの一覧が表示されます。真ん中より下にはESXに必要なスペックが表示され、その右側にはCPU/IOPS/Capacity/Memoryのリソース状況が表示されます。
ESXホストのスペックについては、Cluster Configurationの内容が反映されますが、今回はこちらを何をカスタマイズしていないため、この部分をThinkAgile VX用にカスタマイズを行います。
リソース状況については、入力したWorkload Profileの内容においては、メモリリソースが枯渇しそうなレベルです。CPUについても約74%ですがもう少し余裕を持たせるために今回以下のリソースを調整しようと思います。
・CPU(コア数を増やします)
・メモリ(メモリ容量増やします)
・ディスク容量(キャパシティの容量を増やします)
なお、今回はWorkloadの比較的な軽いものを想定しているため、ThinkAgile VX5520を選定することを視野に再度サイジングします。
出力される内容でもう一つ項目があります。
先ほどサイジングした構成に比較的近いvSAN ReadyNodesが表示されます。今回のAMDモデルが表示されているため、これが今回のベストなReadyNodesとなるわけですが、見る限り非常にスペック小さいです。今回はこちら内容は参考にせず、
ThinkAgile VX5520を先ほどのESXのホストのスペックに近い内容で構成を組みます。
6.ThinkAgile VX5520の構成をカスタマイズ先ほどのESXのホストのスペックを読み取り、ベストな構成に近いと思われるスペックはこちらになると思います。選択可能なコンポーネントは以下のを参考にしていただければと思います。
https://lenovopress.com/lp0782.pdf
こちらの内容に合わせて、Cluster Configurationを設定します。
7.Cluster Configurationの入力
Cluster Configurationの設定画面について説明します。こちらの設定内容はvSANクラスターを構成する際の冗長化およびリモートサイト設定などの設定を行うことができます。
今回のThinkAgile VXの設定において、サイジングに以前する部分としない部分があります。上図イメージの赤枠部分についてThinkAgileVXで構成するクラスターの設定内容になります。
8.ThinkAgile VX5520用にCluster Configurationを入力
赤枠部分についての設定をこちらに記載します。
設定項目は以下の内容になります。
CPUソケット数
CPUコア数
CPU周波数
サーバーの最大ドライブ数
キャッシュティアのメディアRating
キャパシティディスクの最大容量
ディスクグループ数
上記項目についてThinkAgile VX5520のサーバースペックに合わせて項目を設定します。
設定内容については、上図イメージを参考にしていただければと思います。
9.ThinkAgile VX5520のサイジング結果
こちらのイメージがThinkAgile VX5520でのサイジング結果となります。
ホストの台数削減およびスペック変更による、リソースのチューニングも行われております。
ESXホストにスペックの情報が先ほど入力した項目が反映されております。
このように、Cluster Configurationの情報にThinkAgile VXの情報を入力することにサイジングを行うことができますが、そのためにはThinkAgile VXのサーバースペックおよびThinkAgile VXの仕様を把握していく必要があります。
筆者の経験上、主に利用するサーバーはThinkAgile VX3320/VX5520/VX7520の3つのプラットフォームがほとんどになります。
今のケースはハイブリッド構成になりますが、オールフラッシュ構成においてもVDIのワークロードでサイジングした結果を載せておきます。
10.オールフラッシュ構成でのサイジング
オールフラッシュ構成については、VDI構成でサイジングしてみようと思います。
Workload ProfileでVDIに関する情報を入力します。オールフラッシュの構成については、圧縮および重複排除、イレージャーコーディングを利用することができますので、圧縮・重複排除については、ラジオボタンでチェックを入れることにより設定することができます。
イレージャーコーディングについては、フォールトトレラントの項目において、RAID5の設定を選択することにより設定できます。
こちらの画面では、300台のVDI端末でInstant Cloneの設定を入れております。
サイジング内容はこちらになります。
オールフラッシュ構成でサイジングされておりますが、こちらの構成ではメモリが不足しているような結果がひょじされているので、メモリを増強してCPUコアも増やす構成を検討しましょう。
こちらのサイジング結果において、推奨のReadyNodesの筐体でThinkAgile VX3320とVX7520が選択されております。
今回のサイジングについてはThinkAgile VX3320をベースに構成を変更することにします。次のイメージがThinkAgile VX3320の構成になります。
サイジング結果の構成ではキャッシュ部分でNVMeを選択されておりますが、こちらを選択することも問題ありませんが、IOPSがあまりに高すぎるためもう少し廉価のデバイスで12GのSSDを選択しております。
キャパシティ部分についても、Instant Cloneを利用することで、容量が削減されていることもあり、もう少し容量の少ないSSDを選択しております。
次にThinkAgile VX3320用にCluster Configurationを設定します。
1Uサーバーのフォームファクターなので、最大のドライブ数も意識しながら項目を入力します。スロットは12としていますが、ThinkAgile VX3320は最大スロットが10であるため、10でも問題ありません。
こちらがサイジング結果となります。ESXホストのスペックがオールフラッシュ構成になっております。ここで、キャッシュ部分については、600GBのメディアが指定されておりますが、一般的に600GBで対応できますが、ThinkAgile VX3320については600GBのキャッシュドライブが搭載できないため、一つ大きい容量の800GBのメディアを選択しています。
サイジングに関する内容については以上となります。
11.まとめ
今回ThinkAgile VXに関するvSAN Sizerでのサイジング方法をお話しましたが、実際にすべての機種がこちらで対応できるわけでありません。注意事項も併せて記載いたします。
(こちらの内容は筆者がvSAN SizerにThinkAgile VXのスペックを適応させて利用した場合の見解となります)
1.ThinkAgile VX2320については、vSAN Sizerではサイジングできません。
(Cluster Configuration内でMax Drive Slot Availableが4を設定できないため 【最小6本】)
2.ディスクグループについては、MinやMAXを利用せずご自身で設定される数値をUser Definedで定義することをお勧めします。
(vSAN Sizer側でThinkAgileシリーズを考慮したグループ数で算出しないため)
3.ThinkAgile VXアプライアンスとThinkAgile VXにおいて一部サポートされるハードウェアコンポーネントが異なることがあります。コンポーネントを選定する際はご注意下さい
(ThinkAgile VX認定ノードのほうがサポートされているコンポーネントが若干多い【2020年12月22日現在】)
4.Cache Tier Media Ratingについては、ある程度Sizer側で吸収できますが、事前にLenovoが提供しているシステムガイドや以下の資料などを参照されることをお勧めいたします。
SSD 製品 選択の指標http://www.lenovojp.com/server/systemguide/pdf/sg_ssd_guide.pdf
以上、よろしくお願い致します。