2020年12月25日金曜日

NutanixのROBO環境について

みなさん、こんにちは
本記事は、Nutanix Advent Calendar 2020の12月25日分としての投稿になります。

本日はNutanixのROBO環境についてのお話をしようと思います。
NutanixのROBO環境ですが、地方の拠点などのリモート環境で大規模なクラスター構成ではなく、3ノードまでのクラスター構成を環境です。

Nutanixが一般的に3ノードからと言われている中で、ROBO環境のメリットがあるのか?というところも含めて、ROBO環境のクラスターについて内容を説明したいと思います。

1.ROBO向けの1台構成について
1ノード構成の場合についてお話します。
1ノード構成の場合、1台の筐体内でRF2の構成を取ります。つまり、ノード内でメタデータおよび保存データを複数するため、本来必要とするデータ量の1/2となります。(RAID1と同様)
また、3ノード以上のスケールアウト型での拡張は考慮されていないことから、レプリケーションターゲットのような利用シーンが考えられます。通常の仮想化のノードとしては利用シーンもありますが、稼働させる仮想マシン数も少ない(冗長性も考慮しない)

参考程度にNutanixのNXシリーズとLenovoのHXシリーズでの構成可能なコンポーネントを記載しておきますが、NXシリーズは元々大規模なリソースを想定していないことから、CPUスペックは低いものしかラインナップしておりませんが、Lenovo社のスペックについてはROBOモデルでも最大28コアまでサポートされているCPUを搭載することができます。
ドライブ容量も12TBのNLSASは搭載可能ですが、本数も少ないことから高パフォーマンスのワークロードを想定しているものではありません。

2.ROBO向けの2台構成について
次に2ノード構成の場合についてお話します。

2ノード構成の場合、2台ノード全体でRF2の構成を取ります。つまり、一台のノードで障害が発生してももう一つのノードで動作するような仕組みになっております。つまり、HAの構成可能であるが、それだけであれば普通の仮想化環境と変わりません。実はNutanixの2ノード構成については振り舞いが異なる点があります。

データの冗長性についてお話します。メタデータはRF2ではなくRF4の仕組みで動いております。つまり、筐体内で複製も行いますが筐体外でも複製をおこなうため、実際メタデータ(SSD領域)に関しては余分に容量を見ておく必要があります。

つまり、ROBO環境においては仮想マシンの搭載台数も少なく、容量も少なめに構成されます。スケールアウトもできないことから、将来に向けてスケールアウトを拡張したいお客様は検討しないほうがよいと思います。

また、2ノード環境には構成する際にもう一つ必要なコンポーネントがあります。

3.2台クラスター環境にはWitnessサーバーが必須
2台のクラスター環境においては、それぞれのノードがスプリットブレーンを起こさないようにするために、2台のクラスターを外部から監視するサービス(Witness)が必要となります。Witnessサーバーを構築するためには、外部でNutanixのクラスターが必要となるため、2台のROBO用のクラスターを構築する前に本社もしくはデータセンター内に3台以上のクラスターを構築する必要があります。
Witnessサーバーは複数拠点のROBO環境を監視する機能があります。それ以外にWANの帯域幅、レイテンシなどの要件もありますので、WANで接続されているから構成できるわけではありませんので、環境をご確認の上で構成してください。
  • N個のクラスタに1台のWitness
  • WANの帯域幅、レイテンシ、可用性 に制限なし
  • 2ノードクラスタ上には構築不可
ROBO環境において、これ以上問題点はないのだろうか?と思いますが、さらに,
考慮点もございますので、次のイメージでご説明致します。

4.ROBOモデルおよびレプリケーションターゲットに関する仕様について
1ノード構成の説明時に
お話したレプリケーションターゲットに関連する内容をお話します。
1ノード/2ノード構成する際は機能制限があります。
  • スケールアウト(ノード増設)
  • Volumes
  • Metro Availability(メトロの可用性)
  • EC-X(イレージャーコーディング)
  • Deduplication(重複排除)
  • Hyper-V
スケールアウトに関しては先ほど記載しましたが、ブロックストレージのVolumesやMetro Availability、EC-X(イレージャーコーディング)や重複排除も未サポートになっています。
つまり、そのような制限がある場合に、3ノード以上のクラスターからそのままレプリケーションすると重複排除やイレージャーコーディングされたデータがあるクラスターから、そのままROBO環境の1,2ノードのクラスターにレプリケーションすることはできます。しかし、容量が削減されているクラスターから、容量を削減不可のクラスターへのレプリケーションになるため、容量を考慮して運用する必要がありますので、ご注意ください。

5.レプリケーションターゲットを考慮した増設に関して
また、レプリケーションターゲットを構成する際、イメージのように3ノードクラスターのバックアップとしてレプリケーションターゲットを構成するとします。
3ノードクラスター(ここではライセンスをStarterを想定
)の容量が大きくなり、バックアップ用のレプリケーションターゲットノードの容量が不足した場合、本来であればレプリケーションターゲット側をスケールアウトで構成したいと考えます。先ほど1ノード構成の際に説明した通り、スケールアウトで拡張することができません。そのため本番用のノード拡張に合わせてレプリケーションターゲットを追加する必要があります。このようにしてレプリケーションターゲットを増やすことにより増設対応できます。

ほとんどの人が、これで終わりだと思うところがあるのですが、またここで注意事項があります。

6.複数サイト(クラスター)へのDRはライセンスに注意
先ほどのイメージで本番サイトのエディションをStarterと書いてあったのがポイントです。Starterエディションの場合、1:1のレプリケーションを想定しております。そこで、複数のクラスターに対してレプリケーションを行う場合、Starterのライセンスでは対応できません。現状のNutanixにおいては、Proエディションで購入したライセンスに対しては、Advanced Replicationのライセンスが必要になります。(Ultimateライセンスであればそのまま利用可能)
このような話はレプリケーションターゲットに限ったお話ではありませんが、レプリケーションターゲットに関しては、陥りやすい罠となっております。

7.ROBOモデルの本来の利用用途
ROBOモデルの本来の利用用途は、本社もしくはデータセンターに導入したNutanixのクラスターのバックアップや支店などのサイトで利用する小規模のクラスターを構成することがz前提です。そのため、小規模クラスターだけを構築するためだけに導入するものではありません。
仮想マシン数が少ないからと言って、積極的に導入するものではないので、もし小規模でもNutanixを導入したいということであれば、是非小規模のモデルでも3ノードを構成可能なサーバーで購入した方が望ましいと思われます。

8.ROBOモデルは実用的ではない?
ここまで説明してきた内容からすると、ROBOモデルをオススメではないという結論になってしまいますが、今回は少し前向きな話をしたいと思います。
ROBOモデルも実は利用シーンを選べば活用できるモデルであります。それはIoTなどのエッジコンピューティングなど用途です。
エッジコンピューティングでは、エッジサイトで利用しているモバイルデバイスからデータを収集して、処理結果をクラウド上にアップロードしてビジネスに利用するケースがあります。(例えば、監視カメラなどで人などを感知して録画を撮り、人がいなくなったら録画を停止して、動画に情報を付加してクラウド上オブジェクトストレージに保存し、必要に応じて検索して閲覧する)
このような利用シーンであればで、稼働させる仮想マシンも少なく、時には冗長化も不要なケースもあります。
今回このような利用シーンに対応したNutanixのモデルがLenovo社からリリースされておりますので、ここでお話したいと思います。

今回お話するのは今月リリースされたLenovo社から発表されたThinkAgile HX1021になります。
こちらのモデルは昨年リリースされたエッジサーバーのThinkSystem SE350が今回Nutanix対応モデルとして発表されています。
こちらのモデルはエッジコンピューティングを前提にデザインされているため、AIなどの処理可能にするため、GPU(Tesla T4)が搭載されています。ThinkSystem SE350であればWiFiや5Gのモジュールもサポートされているのですが、今回のNutanix対応のHX1021に関しては、Wifiインタフェースおよび5Gモジュールは現状非対応となります。

詳細に関しては、Lenovo社のホームページに記載がありますので、そちらをご参照ください。
ThinkAgile HX1021の主な特徴は以下の3項目です。

  • 小規模環境の導入向け コンパクトなサイズのHCI 
  • グローバルに広がる エッジロケーションの コンシューマグレードの集中管理
  • エッジ環境での高信頼性があり、可用性を備えた安全で頑丈なシステム

ThinkAgile HX1021は1Uで2台のノードが搭載できるサーバーです。非常にコンパクトなボディにもかかわらず、ハイスペックなノードになっています。(コンパクトなボディではありますが、価格に関しては1Uサーバーより高額になる可能性があります)

ThinkAgile HX1021はリモートサイトに設置ちてもネットワークが接続されていれば、XCC(XClarity Controller)やPrismを利用してNutanixクラスターを管理することができます。

ThinkAgile HX1021はラック搭載しなくても利用することができるため、ノードそのものを盗難された場合に、ThinkShield SecureVaultでキー管理することでデータへの不正侵入や改ざんを防止することができます。

10.ROBOモデルにはROBO向けのライセンスを利用しよう
ROBOモデル向けには実はROBO向けのライセンスがリリースされております。
詳細はNutanix社のサイトに記載がございますが、簡単にこちらでもコメントしますと10VM以下の環境で利用する場合、ホストのCPUコアやフラッシュの容量などのスペックには関係なく利用可能なライセンスとなります。


そのため、テスト用途や今回のようなROBO環境では最適なライセンス体系になります。

最後にHX1021を2ノード構成する場合については、既存の3ノード以上のクラスター上にWitnessサーバーをデプロイして利用するようにしてください。

是非エッジコンピューティングなどを利用する際には、こちらの製品を選択することも検討してみてはいかがでしょうか。

以上、よろしくお願いいたします。

2020年12月22日火曜日

ThinkAgileVX の構成をvSAN Sizerでサイジングしてみよう(その2:vSAN Sizerを使ってThinKAgile VXの構成を組んでみよう!)

みなさん、こんにちは
今回は先日ご紹介したThinkAgile製品について、vSAN Sizerを利用する際にどのように設定すればThinkAgileVXの構成でサイジングができるのかをお話ししたいと思います。

その前に、今回はThinkAgile製品とハードウェア各社が認定されているvSAN ReadyNodesについてもお話します。

1.vSAN ReadyNodesの構成について

前回の記事でThinkAgile製品を説明しましたが、vSAN ReadyNodesについてあまりコメントをしていなかったので、vSAN ReadyNodesとThinkAgile VXの違いについて説明しておきたいと思います。

前回の記事のURLはこちらです
https://tkomiya.blogspot.com/2020/12/thinkagilevx-vsan-sizer.html

VMware社のvSAN Compatibility Guide(https://www.vmware.com/resources/compatibility/search.php?deviceCategory=vsan)でLenovoのvSAN ReadyNodesを検索すると上図のイメージのようにHY-4(ハイブリッド)構成において14種類も出てきます。

この中で、ThinkAgileシリーズとvSAN ReadyNodesが表示されますが、この2種類はどのように違うのかがわからない方もいらっしゃいますので、ご説明します

2.vSAN ReadyNodesとThinkAgile VXの違いについて

ThinkAgileとvSAN ReadyNodesについてはこちらのイメージをご覧ください。
こちらの内容を見ていただきますと、違いについては以下のポイントになります。

・VMware社またはLenovo社の認定であるのかどうか
・構成が一意なのか?それとも柔軟性に富んでいるのか?
・ハードウェアベンダーから受けられるサポートレベルの違い

前回のブログでもお話しましたが、vSAN ReadyNodesで構成を組んでも特に構成上問題ない場合はそのまま選定することもよいのですが、ほとんどの要件においてマッチする構成にはなりません。そのため、サイジングした結果で表示されるvSAN ReadyNodesはほぼカスタマイズされて構成することが多いです。

ファームウェアの管理という意味では、以前はvSANアプライアンスをリリースしているベンダーについては優位性がありました。しかし、vSphere7よりvLCM(vSphere Lifecycle Manager)がサポートされ、ハードウェアベンダーが提供するHSM(Hardware Support Manager)とvCenterが連携できれば、ハードウェアコンポーネントにサポートされたファームウェアを適用することができます。


ThinkAgile VXについては、もちろんvSAN ReadyNodesで表示される構成もありますが、ThinkAgile VXはハードウェアベンダー側で検証したファームウェアであれば、それをサポートするハードウェアコンポーネントをどのような構成にしても(Lenovo側で)サポートされますというのがThinkAgile製品の特長です。上図のイメージのようにサイジング結果にハードウェアコンポーネントを合わせて組むことができるため、柔軟性に富んだ構成を望まれる方はThinkAgileVXのアプライアンスもしくはThinkAgile VX認定ノードを選択すると良いと思います。

3.vSAN Sizerに関して


vSAN Sizerについてお話します。
vSAN Sizerは以下のURLからアクセスすることができます。ご利用の際はVMware社のPartner ConnectもしくはMy VMwareへの登録が必要となります。

https://vsansizer.vmware.com/

vSAN Sizerの詳細については、以下のURLをご参照ください。かなり詳細な名称が記載されております。(画面が一部古いですが、十分に参考になります)
https://kwmtlog.blogspot.com/2020/09/new-vsan-ready-node-sizer-user-guide.html

こちらの画面では以下の内容が表示されます

・vSANの構成(ハイブリッドもしくはオールフラッシュ)
・vSANのバージョン(現在6.7U3/7.0/7.0U1の3種類)
・ReadyNodesベンダー
・Cluster Configuration
・Workload Profile

vSANの構成とバージョンについては選択は必須になります。特に仕様を気にすることがなければ最新の7.0U1を選定しましょう。ReadyNodesベンダーは選択は必須ではありませんが、すべてのベンダーが表示されてしまうことから、お気に入りのベンダーを指定しましょう。(今回はLenovoを選択しております)

Cluster Configuration およびWorkload Profileについてはこの後に説明します。

4.Workload Profileの入力

Workload Priofileの入力画面になります。
今回は仮想マシン120台で容量100GB程度のマシンを以下のような設定で入力します。(ハイブリッド構成でバージョンは7.0U1)

物理コアあたりのCPU数:3
仮想CPU数:2
仮想メモリ:8
IOPS:100

FTT=1でRAID1設定でIOについては、読み込み:書き込みを70:30の割合で想定

こちらの内容でサイジングした結果が以下のようになります。

5.サイジング結果

Cluster Configurationを何も設定せずにWorkload Profileを入力してサイジングするとイメージのような画面が表示されます。

こちらの画面では、vSANを構成するESXのホストの台数とvSAN環境が動作るうリソースの一覧が表示されます。真ん中より下にはESXに必要なスペックが表示され、その右側にはCPU/IOPS/Capacity/Memoryのリソース状況が表示されます。

ESXホストのスペックについては、Cluster Configurationの内容が反映されますが、今回はこちらを何をカスタマイズしていないため、この部分をThinkAgile VX用にカスタマイズを行います。

リソース状況については、入力したWorkload Profileの内容においては、メモリリソースが枯渇しそうなレベルです。CPUについても約74%ですがもう少し余裕を持たせるために今回以下のリソースを調整しようと思います。

・CPU(コア数を増やします)
・メモリ(メモリ容量増やします)
・ディスク容量(キャパシティの容量を増やします)

なお、今回はWorkloadの比較的な軽いものを想定しているため、ThinkAgile VX5520を選定することを視野に再度サイジングします。


出力される内容でもう一つ項目があります。
先ほどサイジングした構成に比較的近いvSAN ReadyNodesが表示されます。今回のAMDモデルが表示されているため、これが今回のベストなReadyNodesとなるわけですが、見る限り非常にスペック小さいです。今回はこちら内容は参考にせず、ThinkAgile VX5520を先ほどのESXのホストのスペックに近い内容で構成を組みます。

6.ThinkAgile VX5520の構成をカスタマイズ

先ほどのESXのホストのスペックを読み取り、ベストな構成に近いと思われるスペックはこちらになると思います。選択可能なコンポーネントは以下のを参考にしていただければと思います。

https://lenovopress.com/lp0782.pdf

こちらの内容に合わせて、Cluster Configurationを設定します。

7.Cluster Configurationの入力

Cluster Configurationの設定画面について説明します。こちらの設定内容はvSANクラスターを構成する際の冗長化およびリモートサイト設定などの設定を行うことができます。
今回のThinkAgile VXの設定において、サイジングに以前する部分としない部分があります。上図イメージの赤枠部分についてThinkAgileVXで構成するクラスターの設定内容になります。

8.ThinkAgile VX5520用にCluster Configurationを入力

赤枠部分についての設定をこちらに記載します。
設定項目は以下の内容になります。

CPUソケット数
CPUコア数
CPU周波数
サーバーの最大ドライブ数
キャッシュティアのメディアRating
キャパシティディスクの最大容量
ディスクグループ数

上記項目についてThinkAgile VX5520のサーバースペックに合わせて項目を設定します。
設定内容については、上図イメージを参考にしていただければと思います。

9.ThinkAgile VX5520のサイジング結果

こちらのイメージがThinkAgile VX5520でのサイジング結果となります。
ホストの台数削減およびスペック変更による、リソースのチューニングも行われております。
ESXホストにスペックの情報が先ほど入力した項目が反映されております。

このように、Cluster Configurationの情報にThinkAgile VXの情報を入力することにサイジングを行うことができますが、そのためにはThinkAgile VXのサーバースペックおよびThinkAgile VXの仕様を把握していく必要があります。
筆者の経験上、主に利用するサーバーはThinkAgile VX3320/VX5520/VX7520の3つのプラットフォームがほとんどになります。

今のケースはハイブリッド構成になりますが、オールフラッシュ構成においてもVDIのワークロードでサイジングした結果を載せておきます。

10.オールフラッシュ構成でのサイジング

オールフラッシュ構成については、VDI構成でサイジングしてみようと思います。

Workload ProfileでVDIに関する情報を入力します。オールフラッシュの構成については、圧縮および重複排除、イレージャーコーディングを利用することができますので、圧縮・重複排除については、ラジオボタンでチェックを入れることにより設定することができます。
イレージャーコーディングについては、フォールトトレラントの項目において、RAID5の設定を選択することにより設定できます。

こちらの画面では、300台のVDI端末でInstant Cloneの設定を入れております。

サイジング内容はこちらになります。
オールフラッシュ構成でサイジングされておりますが、こちらの構成ではメモリが不足しているような結果がひょじされているので、メモリを増強してCPUコアも増やす構成を検討しましょう。

こちらのサイジング結果において、推奨のReadyNodesの筐体でThinkAgile VX3320とVX7520が選択されております。

今回のサイジングについてはThinkAgile VX3320をベースに構成を変更することにします。次のイメージがThinkAgile VX3320の構成になります。

サイジング結果の構成ではキャッシュ部分でNVMeを選択されておりますが、こちらを選択することも問題ありませんが、IOPSがあまりに高すぎるためもう少し廉価のデバイスで12GのSSDを選択しております。
キャパシティ部分についても、Instant Cloneを利用することで、容量が削減されていることもあり、もう少し容量の少ないSSDを選択しております。

次にThinkAgile VX3320用にCluster Configurationを設定します。
1Uサーバーのフォームファクターなので、最大のドライブ数も意識しながら項目を入力します。スロットは12としていますが、ThinkAgile VX3320は最大スロットが10であるため、10でも問題ありません。

こちらがサイジング結果となります。ESXホストのスペックがオールフラッシュ構成になっております。ここで、キャッシュ部分については、600GBのメディアが指定されておりますが、一般的に600GBで対応できますが、ThinkAgile VX3320については600GBのキャッシュドライブが搭載できないため、一つ大きい容量の800GBのメディアを選択しています。

サイジングに関する内容については以上となります。

11.まとめ


今回ThinkAgile VXに関するvSAN Sizerでのサイジング方法をお話しましたが、実際にすべての機種がこちらで対応できるわけでありません。注意事項も併せて記載いたします。
(こちらの内容は筆者がvSAN SizerにThinkAgile VXのスペックを適応させて利用した場合の見解となります)

1.ThinkAgile VX2320については、vSAN Sizerではサイジングできません。
(Cluster Configuration内でMax Drive Slot Availableが4を設定できないため 【最小6本】)

2.ディスクグループについては、MinやMAXを利用せずご自身で設定される数値をUser Definedで定義することをお勧めします。
(vSAN Sizer側でThinkAgileシリーズを考慮したグループ数で算出しないため)
3.ThinkAgile VXアプライアンスとThinkAgile VXにおいて一部サポートされるハードウェアコンポーネントが異なることがあります。コンポーネントを選定する際はご注意下さい
(ThinkAgile VX認定ノードのほうがサポートされているコンポーネントが若干多い【2020年12月22日現在】)
4.Cache Tier Media Ratingについては、ある程度Sizer側で吸収できますが、事前にLenovoが提供しているシステムガイドや以下の資料などを参照されることをお勧めいたします。

SSD 製品 選択の指標http://www.lenovojp.com/server/systemguide/pdf/sg_ssd_guide.pdf


以上、よろしくお願い致します。

2020年12月17日木曜日

ThinkAgileVX の構成をvSAN Sizerでサイジングしてみよう(その1:ラインナップとディスク構成について覚えよう!)

みなさん、こんにちは
本日はLenovoのvSANアプライアンスであるThinkAgile VX(認定ノードを含む)をVMware社が提供しているvSAN Sizerでサイジングしてみようと思っております。

しかしながら、vSAN SizerはvSAN ReadyNodesをベースにサイジング結果を表示してくれるツールです。ThinkAgile VXについても製品の一部はvSAN ReadyNodesとして認定されているものが一部ありますので、サイジングする際にThinkAgile VXの製品も理解しながらサイジングを行うと、もう少し柔軟なサイジングができるようになると思います。

実際にvSAN Compatibility Guide(https://www.vmware.com/resources/compatibility/search.php?deviceCategory=vsan)でLenovoのvSAN ReadyNodesを調べてみると、2020年12月16日現在で178モデル存在しているしていることがわかります。

以下のイメージでThinkAgile VX3320やVX7520の表示されているものがThinkAgile VXでvSAN ReadyNodesとして認定されているスペックになります。


ThinkAgile VX7520で検索されたvSAN ReadyNodesのスペック


vSAN Sizerは仮想環境をサイジングする際に、vSAN ReadyNodesのスペックに近いものをサイジング結果として表示することはできますが、vSAN ReadyNodesのサイジング結果をそのまま利用するケースは少ないため、ほとんどがスペックをカスタマイズすることが多いと思います。ThinkAgile VXについては、Lenovoで認定されたファームウェアをベースにCPU/メモリ/ディスク構成/NICなどがカスタマイズの構成になったとしても、動作をサポートするvSANソリューションです。すなわち、vSANサイジングでカスタマイズで構成されたThinkAgileVXについては安定したvSAN アプライアンスになるので、vSAN提案に非常に役立つかと思います。

vSAN Sizerでサイジングする前に、この回はThinkAgile VXのラインナップ(主にディスク構成)についてお話したいと思います。

1.ThinkAgile VXのラインナップについて

ThinkAgile VXには2種類あります。

アプライアンスモデル:ハードウェアおよびソフトウェアをベンダーから一括購入してサポートも一元窓口でベンダーで受けることができるモデル

認定ノードモデル:ハードウェアはハードウェアベンダーから購入するがソフトウェアは別で購入するモデル既存でVMwareのソフトウェアをご利用のお客様がソフトウェアの窓口を変えないで、ハードウェアのみ購入する場合にこちらを購入されることがあります。(ハードウェアのサポートのみハードウェアベンダーで受けることができます)

ThinkAgileの型番についてアプライアンスモデルはVXの次に数字の型番が書いているので非常にわかりやすくなっておりますが、認定ノードについては、フォームファクターベースになっています。

認定ノードの型番はvSAN ReadyNodesのフォームファクターベースの記載に合わせているためです。先ほどの検索結果において、Certified Nodeと記載があったかと思いますが、認定ノードのvSAN ReadyNodesの認定記載についても同様にありますので、これで安心するかと思います。

今回はアプライアンスの構成をベースに構成をお話したいと思います。

2.ThinkAgile VX2320


ThinkAgileVX2320は3.5インチx4本搭載可能の1Uサーバーとなります。
エントリーモデルで軽いワークロードで容量を必要とする仮想マシンに向いています。

ディスクグループは1つしか組めず、SSDx1およびNLSASx3(NLSASは2本もしくは3本)の構成のみとなります。(オールフラッシュは未サポート
こちらのサーバーについてはvSAN ReadyNodesの認定機種ではありませんので、vSAN Sizerでは表示されません。

NLSASの構成であることから1グループあたり10TBを超える構成を組むことも可能ですが、パフォーマンスは出ないため、データベースやVDIなどでは利用しないほうがよいかもしれません。
詳細スペックは以下のURLをご参照ください

3.ThinkAgile VX3320/VX7320-N

ThinkAgileVX3320は2.5インチx10本搭載可能の1Uサーバーとなります。
ミッドレンジのサーバーで主にVDIなどの用途に向いているサーバーになります。

ディスクグループは最大3つまで組むことができます、キャッシュはSSD、キャパシティはSSD/SAS/NLSAS(NLSASは最大2TB)で構成することができます。1グループあたり最小2本で最大8本まで構成可能。NVMeについてもサポートされているため、VDIのIOボトルネック解消のために構成されるケースもあります。
こちらのサーバーについては、vSAN ReadyNodesの認定機種になっておりますので、vSAN Sizerでは表示されます。

1UのフォームファクターにThinkAgile VX7320-Nというオールフラッシュのみで構成可能な型番もございます。VX3320をオールフラシュ構成にしたものとあまり変わりはないものの、一部組めない構成がありますので、ご注意ください。

詳細スペックは以下のURLをご参照ください
https://lenovopress.com/lp0725.pdf
https://lenovopress.com/lp0935-thinkagile-vx7320-n-appliance-gen1

4.ThinkAgile VX5520

ThinkAgileVX5520は3.5インチx12本もしくはx14本搭載可能の2Uサーバーとなります。

ミッドレンジのサーバーですが、IO要件の高くない仮想マシンなどの用途向いているサーバーになります。(VX2320の大容量版のサーバー)

ディスクグループは最大4つまで組むことができます、キャッシュはSSD、キャパシティはNLSAS(NLSASは最大16TB)で構成することができます。1グループあたり最小2本で最大7本まで構成可能。14本搭載のサーバーについては、フロントに12本、リアに2本のディスクを搭載することになります。

こちらのサーバーについては、vSAN ReadyNodesとして認定されておりませんので、vSAN Sizerでは表示されません。

詳細スペックは以下のURLをご参照ください
https://lenovopress.com/lp0782.pdf

5.ThinkAgile VX3520-G

ThinkAgileVX3520-Gは2.5インチx16本搭載可能の2Uサーバーとなります。

ミッドレンジのサーバーで、GPU搭載されているサーバーであることから、VDIおよびCAD系のユーザーの利用用途やAIなどのコンピューティングを仮想化で検討されているお客様に向いています。

ディスクグループは最大4つまで組むことができます、キャッシュはSSD、キャパシティはSSD/SASで構成することができます。1グループあたり最小2本で最大7本まで構成可能。


こちらの機種についてもvSAN ReadyNodesとしては認定されておりませんが、ディスク構成に関しては、vSAN Sizerとしても利用可能になっているので、容量サイジングで利用することも問題ないかと思います。

詳細スペックは以下のURLをご参照ください

6.ThinkAgile VX7520
ThinkAgileVX7520は2.5インチx24本搭載可能の2Uサーバーとなります。

ハイエンドのサーバーで、ディスクの本数を多く搭載することで容量もパフォーマンスが得れるサーバーであるです。データベースおよびSAP HANAなどのIOインテンシブの用途で検討されているお客様に向いています。

ディスクグループは最大4つまで組むことができます、キャッシュはSSD、キャパシティはSSD/SASで構成することができます。1グループあたり最小2本で最大7本まで構成可能。

こちらのThinkAgile VX7520については、パフォーマンスでの用途することも想定することから、NVMeで構成を組むことができます。VX3320構成時と異なるところは、本数に制限はありますがオールNVMe構成で組むことができます。

こちらの機種はvSAN ReadyNodesの認定機種になっております。

詳細スペックは以下のURLをご参照ください
7.ThinkAgile VX3720
ThinkAgileVX3720は2.5インチx24本搭載可能の2U4Nサーバーとなります。

高密度のサーバーであるため、主な用途はVDI用途になります。
こちらのサーバーについて、2Uに4ノード搭載されていることから、1台のサーバーでは6本ディスクを利用できることになります。
ディスクグループは最大2つまで構成可能ですが、1グループでは最大5本までキャパシティ用のディスクが搭載でき、2グループの時は最大4つまで構成可能です。

NVMeについても搭載は可能であり、VDIのIOボトルネックを軽減する提案にも有効活用できます。

また、こちらの構成もvSAN ReadyNodeの認定機種になっております。

詳細スペックは以下のURLをご参照ください
https://lenovopress.com/lp0937-thinkagile-vx3720-appliance-gen1

8.ThinkAgile VX7820
ThinkAgileVX7820は2.5インチx24本搭載可能の4Uサーバーとなります。

こちらはミッションクリティカル向けのサーバーであるため、主な用途はデータベースやSAP HANAの用途になります。この機種については、オールフラッシュの構成のみとなります。
ThinkAgile VXで唯一ディスクグループは最大5つまで構成可能ですが、4グループ構成で一番容量とパフォーマンスが効率化する構成になります。(NVMeについても搭載可能)


こちらの機種については、vSAN ReadyNodesの認定機種にはなっておりませんが、ディスクのサイジングとしてvSAN Sizerを利用するのは問題ありません。

詳細スペックは以下のURLをご参照ください

ThinkAgileVXに関するスペックの説明は以上となります。

次回はカスタマイズ構成のThinkAgile VX構成をvSAN Sizerで設定しながら、サイジングするやり方をご説明したいと思います。

以上、よろしくお願い致します。